005 雨の日の土間
今日は雨なので土間の雰囲気がいい。土間にはYoutubeの音と垂れ流すスピーカーが設置されているので、とりあえずLofi系のBGMを流して悦に浸る。今日は10時半に起きたので住人たちはみんな外出していて一人である。
金沢は年中くもり、くもりは晴れ、小雨までは晴れ、くらいに天気の悪い地域だったが、最近はちゃんとした晴れの日が多い気がする。学生時代は学校やバイトの往復が多かったので雨が嫌だったが、現在の身の上でこのくらいの雨ならちょうどいい。
キタイッサカの家の前は高い崖になっている。崖のうえは神社になっていて、お祭りの時期はふしぎ音楽が日中鳴り響いていてたいへん雅である。正面が崖というのはお向かいさんがいないということなので、現在の土間がプライバシーの概念がないフルオープン状態なのはこの崖のおかげと言ってよい。崖にはちょうどいい塩梅に苔とか草も生えていて、借景としてはかなり贅沢であろう。(住人やご近所さんがお手入れしているのかもしれないが)
雨が映える建築というのをときどき考えているので、ちょっと整理してみたい。これは単純に室内側のゆとりだけでは成立しないように思う。まず音が適度に聞こえること、つまり窓をあけても雨が中に入ってこない構造が必要。また音自体も心地よいこと。屋根にあたる音は結構うるさいのでガルバリウム鋼板より瓦のほうが上等だろうし、窓ガラスにもひさしがあったり軒が長いほうがよい。次に情報量は控えめ、且つ雨の様子が視認できること。これは開けた窓からひろい空間を見ても景色が優先され、暴風雨くらいじゃないと雨に注目しづらいかんじがするから。5m〜10mくらい先に遮蔽物があるとちょうどよい。
ということでつまり、土間の環境はたいへんよいのである。こうまとめると、日本建築がかなり有利だとわかる。神社やお寺、日本庭園はまさにこれらの要素を極上に整えている。ただ要素をひもとけば上のような条件に整理できるはずで、現代様式でもいいかんじにつくることは可能ではないだろうか。だろうか、といっても手がける機会はそうそうないのだけれど。
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